ライトノベルについて語りたい

語る相手がいなくて寂しいのでブログで語ります。

ライトノベルについて語りたい2表

「いくらなんでもえらすぎる」

部活の帰り道、同じバスケ部の下崎カケル君が確かにえらそうに言った。
(※「えらい」は地方の方言で「つらい」「しんどい」という意味)

中学1年ももう半ばが過ぎ、部活には慣れたようでその実辛さは変わらなかった。
どう考えてもオーバーワーク、成長期には悪そうな過度の運動をしていた。
バスケというハードなスポーツに根性論至上主義のコーチが付けばさもありなんというところだ。
ただこの帰り道の辛さで言えばカケルにその文句を言う資格はない。

「いやカケルはいいだろ学校近いし」
「それでも20分歩くけどな」
「俺はそこから30分歩くぞ」

田舎の学校は遠い。クラスで一番近いカケルでさえ徒歩20分。
部活でオーバーワークの体には応える距離だ。

「何か楽にならないかなぁ、どこでもドアとか」
「どこでもドアって、中学生なんだしもうちょっとひねろうぜ」

大人ぶりたい年頃だ。自分は苦笑いをしながら言った。

「えー……じゃあ、タ……ヘリコプターで学校行く」
タケコプターでかくしただけだろ」
「じゃあ何かひねったアイディア出してみろよ」

挑発的にカケルは言った。しかし自分にはアイディアがあった。
この前読んだラノベの設定を思い出しながら説明した。

「ふっ、カケル君。どうせならもっとスケールをでかくしようじゃないか」
「ほういいだろう続けたまえ」
「まず、本当に学校や部活を現実世界で行う必要があるだろうか。そう人間の脳に直接電極をつないでコンピュータで仮想世界の中を生きることで部活をやっても疲れないし学校行くのも疲れない。どうだっ!」
マトリックスじゃねーか」
「ちげーよ。クリス・クロスだよ」

いや確かにこの前公開されたばかりの映画「マトリックス」の設定まんまだけども。

「仮想世界の中でゲームをするっていうクリス・クロスっていうラノベがあって……」
「お前……ライトノベルって……俺のどこでもドアとレベル一緒だろ」
「……」

全く反論できない。そうこう会話をしていたらカケルの家の前まで来ていた。

「じゃあ明日なー。あ、そうそう。そもそも仮想世界って運動しても疲れないのか?マトリックス観た限りどっちにしろ疲れる気がする。じゃあな」
「お、おう」

爆弾残してカケルは家に入っていった。
自分は脳に電極つないで仮想世界で運動したら疲れるのかどうか、悶々と考えながら30分の帰路に着くのであった。