ライトノベルについて語りたい

語る相手がいなくて寂しいのでブログで語ります。

ライトノベルについて語りたい1裏

さて、最初は「スレイヤーズ!」のお話です。

と言いますか「神坂一」先生のお話です。

私は「スレイヤーズ!」より前のライトノベルについて詳しくありません。
よって私が初めて手に取った「スレイヤーズ!」より話をさせて頂きます。

当時?1980年代はもうアニメ、漫画文化が浸透しきった時代だったと思います。
もちろん私は知りません。話半分に聞いてください。
島本和彦さんの「アオイホノオ」がそのままならそういうものでしょう。
SFという一つのジャンルが落ち着いてきて80年代後半はファンタジーが流行り始めたようです。

ドラゴンクエスト等のRPGの大流行から、そのRPGの元になった今でいうTRPGへの注目。
そしてTRPGのリプレイから生まれた「ロードス島戦記」。

ロードス島戦記が生まれ注目された以上、「スレイヤーズ!」のような中高生向けのファンタジー小説が登場するのは必然だったのでしょうか。

1990年前後、中高生向けのファンタジー小説が大量に出現します。
この辺りの流れは当時を知らない自分が語っても嘘がいっぱい出てしまうのでこれくらいにします。

神坂一さんについて語りましょう。

私が初めて触れたライトノベル作家です。
作風はファンタジー+コメディ、SF+コメディ等でしょう。そしてこのコメディが問題なのです。

当時は「剣と魔法の世界」というのがライトノベルの王道です。
それこそ1980年後半からスタートしたこの王道は長い期間続きました。

橋本紡さんが「半分の月がのぼる空(2003年)」をどこかに見せた際、
「ファンタジー要素のない作品はライトノベルでは売れない」とばっさり切られているようです。

神坂一の描くファンタジーというものは別段問題ではないのです。
よくあるTRPGのファンタジーです。
おそらく神坂一さんがいなくてもどこもかしこも同じようなファンタジーだったと思います。

ただ、神坂一さん等この時代の作家さんはありとあらゆるコメディをやりつくしてしまいました。
ライトノベル流行の初期メンバーの作家さんはコメディをやりつくしてしまっています。

このせいで今後出てきたコメディについて、神坂一さんがこの流れやってるんだよなぁと感想を持ってしまう…
まあ、お笑いの世界なんてそんなものかも知れません。

例えば、神坂一「日帰りクエスト(1993年)」です。
ここでは「お約束の裏切り」というコメディをやっています。
1993年にして「普通、異世界召喚ってこういう流れだよね?」という読者の共通認識を裏切るというコメディをやっています。
物語開始のプロットとしては
1.何でもない普通の女子高生が突然異世界に召喚される
2.女子高生は、異世界に召喚された!これはこれから自分に特別な力があって何でもない日常から解放されRPGのような冒険が待っていると喜ぶ
3.召喚した異世界人がいや単にサンプルとして偶然呼んだだけなので元の世界に帰しますねとあっさり帰そうとする
4.女子高生は面白そうなのにこのまま普通に日常に帰るのは嫌だと思い、機転を利かせ召喚主を脅し7日に一度(日曜)自分を呼び出せと命令し承諾させる
5.こうして女子高生は毎週日曜、小旅行感覚で異世界を満喫できると喜ぶ

という流れ。異世界召喚といえばあなたは勇者として選ばれましたという流れを期待させそれを裏切らせることでコメディにするといういわゆる「お約束外し」というコメディ。

プロット単位でなくても、スレイヤーズでは「白魔術都市という神聖な王国の第一王子」が「40過ぎの盗賊の頭みたいな風貌のむさいおっさん」だったり、
シェリフスターズ(2000年)」ではいかにものテンプレートなマッドサイエンティストが武術の達人だったりとお約束外しをいたるところで使っています。

そうかと思えば、テンプレートすぎてありきたり過ぎるお約束を主人公につっこみさせる等でコメディにしたり、
お約束ならこうなるはずと登場人物に言わせたりともうやりたい放題やっています。

それからコメディの種類としてはキャラクターのテンプレート化でしょう。
中二病ツンデレという言葉が出る前から、このキャラクターのテンプレートを揶揄する笑いをやっています。

むしろ神坂一さんはもっと多くの属性のテンプレートを揶揄していますが、
このうちのいくつかが後に名前が付き広く使われるようになったと言っていいと思います。

キャラクターの属性の命名が進んでないからこそ多種多様の属性を扱えたのかも知れません。

中二病のキャラクターを出し、中二病痛いわ~という流れはもう使い果たされたよく見る流れだったと思いますが、
この手の流れを名前の付いていない属性で多くやっています。

今一度、神坂一さんを読んでみたら名前が付かずテンプレート化されなかったキャラクターの属性というものが発見できるかも知れません。

また、この1990年前後のライトノベルによりライトノベルの文章の書き方などが整備されたように思われます。
「中高生に流行りそうな漫画的な手法を入れた小説」というのが私の神坂一さんの第一印象でした。

中高生の漫画好き達をいかに引き込めるか、その文章はどう書かれるのか、物語、キャラクターはどのようなものが好まれるのか
1990年代というのはファンタジーを踏襲しながら上記のようなことを考え実践し成功した時代であり、
神坂一さんはその成功者であると思っております。

「闇よりもなお暗き存在~」で反応しない人はいない、そんな時代を作った神坂一さんがいなかったら、
ライトノベルというものがジャンル化すらされなかったかも知れません。

以上、神坂一さんについて語りました。